美術の世界は自由で無限の広がりがあります。
10人の生徒がいれば個性や表現も違うように、
10人の先生がいればそれぞれ違った教え方があります。
以下にお答えしました回答はあくまで私の個人的な教え方になりますので参考程度にお考えください。
- 子供たちがストレスを感じず、楽しくのびのびと描くためには、
どのような援助・言葉がけ・環境づくりをしたらいいですか? - 作品には作者の内面、性質全てが写し出されるので、作品の良い部分を見極め、たくさん褒めてやってください。日頃お子さんと接しておられるからこそ、見えてくる作品の中にひそむ本質を見抜く事ができるはずです。
例えば・・・
「車が大きくダイナミックに描けてるね」
「その横(背景)に優しい色使いの表現をすると車が引き立つよ」
「車はどこを走っているのかな?田舎かな?街中かな?」
「犬を散歩させてる人が通ってるのかな?カーレース会場なのかな?」
作品を褒めながら質問していく事で自分が認められたと自信をもち、どんどんアイデアを生み出していきます。
- 単一色で線描き絵しか描かないのですが
- 単一色の方が個性的で際立った表現になる場合もありますが、ずっとワンパターンだともう一色好きな色を選ばせて描かせたり、こちらが色を指定して塗らせたり、配色の豊かな世界を感じさせてやると良いです。
- 頭足人・針金人間(年長の子)になってしまうんですが
- まず顔を丸く描き、耳・首を付けて体・手足と順を追って描き足していく形を教えるといいです。
完成形を見てもどこから描けば良いか分からないという子が多いです。
- 意味付けしながら描いているのですがいつもなぐり描きになってしまいます。
- 「ここに魚みたいな形のものが入っているよ。目を描き足してみようか!」
などと具体的な魚を自分が仕上げたという実感をもたせてやります。すると自由になぐり描きを楽しんだ後は、自分から何かの形を探し始め、次第に魚だけを描くようになります。
- 親が見本を描いて見せると真似て同じ絵になってしまいます。
- 美術は個性が大事で「見本と全て同じはダメ!○○ちゃんはどうしたいか考えてごらん。お母さんをおどろかせて!」と言うような感じで人と違う作品を作る価値を強調してみましょう。
- 画用紙いっぱいに大きな絵を描く事ができません
- 鉛筆で描く場合は何度も書き直させるようにしましょう。ここでしっかり時間をかけて大きく描かせた方が良い絵になりやすいです。それでも小さくなったりクレヨンで描き直せない場合は、数を増やして描かせて迫力を出させたり、背景を工夫してみるといいでしょう。
- どう表現して描けばいいかが分からず、しり込みをしてしまいます。
- 小さいうちは丸や四角の中を塗りつぶしたり、線や点をいろんな色で描いたり、手に絵の具を付けて画用紙に塗り塗りするだけで抽象画の様な絵になります。何か自分に合った素材・クレヨン・絵の具・折り紙を破って貼るなど何でも良いのできっかけを与える事が大事です。
- 年齢・発達段階に応じて、取り入れると良い基本的描画方法はありますか?
- クレヨンで自由に描き絵の具で上から塗りつぶすと、はじき絵としてクレヨンが浮き上がって残るので、画用紙全体が一気に仕上がり子供は喜びます。
幼児の場合、一本線の落書きで終わってしまう事が多いので、重要な部分だけでもしっかり塗りつぶすようにすると、遠くから見ても力強い表現になります。
※かといって全てを塗りつぶして線描きの良さが消え台無しになるケースもありますのでご注意を!
- 子ども達が、活動的に成長し、表現の世界が大きく広がった時、絵も認識の特徴が表れると良いのですが・・・
- 例えばお芋ほりをみんなでした時の絵を描く場合、子供たちは具体的なものを見て喜んで描きますので、写真やお芋を準備して気持ちを盛り上げ、掘った瞬間どんな体の動きだったか、その時の気持ち、表情などを思い出させ描かせてみましょう。
ワンパターンの笑顔を描いてしまいがちなので、「力を込めて真剣な顔で汗が出たりもするよね」など言葉がけをすると尚良い作品に仕上がります。
- コンクールで入賞するような絵(特に人物画)の描き方はあるのでしょうか?
(昨年、絵画のコンクールの人物画部門で大賞を取った子がいます。) - 対象物を大きく、表情豊かに描き、しっかりと塗りつぶし、遠くから見ても力強い表現を心がけると良いです。
コンクールの場合、多くの作品を床に並べて審査するので遠くから見ても目立つ表現を意識すると審査員の印象にも残りやすいです。
例えば色のインパクトを出す為に、色画用紙に描いたり、部分的にはり絵をしたり、素材の力を借りて描くのも良いと思います。
(コンクールの画材規定をよく確認して下さい)
でも自分らしく楽しく描くのが一番です!!