私は教材研究が好きで、新たに課題を作る時は、試作品を作り、授業展開を導入から頭の中でシュミレーションしてみて、問題点を見つけ出し整理していきます。
年齢に合った素材を選び、きっとここで子供達は失敗しそうだからアドバイスを入れよう。
でも失敗も経験だから助言のタイミングは早過ぎず遅過ぎず、などと生徒の顔を思い浮かべながら授業をイメージするのはとても楽しい時間です。

実際の授業がイメージ通りにいけば最高の気分になりますが、初めての課題はたいてい予想通りにはいきません。
大失敗かと思いきや、スムーズに進行しない方が、生徒が教師をフォローしてくれるかのように、
「先生、こんなやり方もあるよ!」
と斬新なアイデアを次々と出してくれて、逆に授業に一体感が生まれることが多いのです。
課題は教師1人で作るものではなく、生徒の力によってどんどん進化していき、三年程で良い課題として完成型に達するように感じています。

図工の授業は始まる時点では何もありません。
そこにあるのは生徒の創造する意欲に溢れた心。
おしゃべりしながら大盛り上がりの授業が終わり、みなさんが教室に戻った後、静かな図工室には1人1人の個性豊かな作品がキラキラ輝いています。
「あれほど注意したのにS君はやっぱりボンドつけてないから壊れるなあ」
などと苦笑しながら、その日の授業を振り返る時間がたまらなく好きです。

みなさんは図工の作品を大切に残していますか?
あのクラスの一員として、あの雰囲気の中だからこそ、あなたの心から生まれ出た世界で一つの作品。
そこからは、その時にしか表現できないあなた自身を発見する事でしょう。